マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「うそでしょ? 千彰くん」
「うそじゃないんだ。だからごめん」

 千彰先輩がにっこり微笑む。営業スマイルだ。

「ちょっと、どういうこと?」
「いま彼女って言ったよね? 桃花のこと」

 香奈ちゃんたちがパニックになっているのがわかる。
 ていうか、わたしだってパニックだよ。

「もうっ、信じられない!」

 美咲先輩が叫ぶように言って、その場から立ち去った。
 千彰先輩が「ふうっ」と、おおきなため息をつく。

 あのー、ため息つきたいのは、こっちのほうなんですけど?
 いつわたしが、先輩とつきあうって言いました!?

「ち、千彰先輩!」

 先輩がじろっとわたしをにらむ。わたしは「ひっ」と息をのむ。
 そしてわたしの腕を引っ張り、廊下を速足で歩きだした。

「ど、どこ行くんですか!?」
「いいから来い!」

 先輩に引っ張られながら、後ろを振り向く。
 香奈ちゃんと藍ちゃんはあぜんとした顔のまま、その場に突っ立っていた。