マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「女の先輩と話してる」
「なに話してるんだろ」
「てか、やっぱり千彰先輩カッコいい!」

 藍ちゃんたちがこそこそ話しだす。

 学校での千彰先輩は、ネクタイをきっちりと締め、ブレザーのボタンも開けたりしない。
 話す声はおだやかだし、いつもやさしい笑顔を絶やさないから、見た目は優等生だ。

 こそこそ話していたわたしたちに、千彰先輩が気づいてこっちを見た。
 目が合ったと思ったら、先輩が突然、わたしの名前を呼んだ。

「桃花!」

 ドキッ……

 カチカチにかたまったわたしのことを、香奈ちゃんと藍ちゃん、そして美咲先輩が一斉に見る。
 すると千彰先輩がタタっと駆け寄ってきて、わたしの腕をつかみ、美咲先輩の前に連れていった。

「この子がおれの彼女。鹿子桃花」

 は? わたしはぽかんっと口を開ける。
 なに言ってるんですか? 千彰先輩?

 みるみるうちに美咲先輩の顔がけわしくなって、わたしのことをにらみつけた。
 そして石のようにかたまっているわたしの、頭のてっぺんから上履きの先までじろじろと見て、怒った声を出す。