マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「たとえだよ、たとえ。マジで死ぬわけねーだろ?」
「あ、そうですよね」

 わたしは苦笑いをして、千彰先輩から手を離す。
 すると先輩が、静かに口を開いた。

「おれさ、店番はやりたくねぇけど、ケーキ作るのは好きなんだ。だから将来は親父みたいな、パティシエになりたいって思ってて……」
「パティシエですか!? ステキ! いいじゃないですか!」

 だけど先輩はまたうつむいて、おおきなため息をつく。

「でもおれの作ったケーキ……まずいんだ」
「だ、大丈夫ですよ! もっと練習すれば……」
「毎週作ってるんだよ。材料は店と同じだし、親父のレシピもある。なのにおれが作ると、どーしてもまずくなっちまう」

 先輩が「はぁーっ」とまた息を吐き、頭を抱えた。
 わたしの前では、いつも暴君のようにふるまっているくせに、今日は別人みたいにしょんぼりしてる。

 こんなの、わたしの知ってる千彰先輩じゃない!