マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

 ああ、お腹すいたなぁ……

 朝、千彰先輩と別れたあと、すぐに予鈴がなってしまい、結局おにぎりを一個しか食べられなかった。
 いつもはおじいちゃんに言われるまま、お茶碗三杯ご飯を食べてくるのに。
 だから三時間目の終わりには、もうお腹がぺこぺこだった。

「桃花ー、どうしたの? 早くおいでよー」

 力が出なくて、廊下をのろのろ歩いていたら、前を歩く香奈ちゃんと藍ちゃんにせかされちゃった。

「うん……」

 スケッチブックを胸に抱え、がんばって足を動かす。
 これから北棟四階の美術室まで移動だなんて……お腹すきすぎて遭難しちゃうよ。

「桃花ぁ」
「はやくー」

 廊下の先から、また呼ばれた。

「はぁい」

 いそいで追いかけようとしたら、ふらっと足がもつれた。

「あっ……」

 とんっと誰かにぶつかった。
 倒れそうになった体を、おおきな手で支えられる。

「だいじょうぶ?」
「はい、すみませ……」

 言いかけて、わたしは「ひっ」と息をのんだ。
 だって目の前で微笑んでいるのは、あの千彰先輩。

 ううっ、窓からの日差しも手伝って、先輩がキラキラ輝いて見える。