マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「あのっ、おじいちゃんっ、それはっ」
「桃花! これはまさか……」
「宿題してきます!」

 わたしはおじいちゃんから逃げるように、玄関を抜け階段を駆けあがる。

「あら、桃花。帰ったのー?」

 お店のほうから、お母さんの声が聞こえた。

 うちはお店と住宅がくっついていて、なかで自由に行き来できる。
 おもに接客を担当しているお母さんは、紺色の作務衣(さむえ)という和風の仕事着に、桃色の前掛けをつけている。

 ちなみにわたしもときどきお店の手伝いをしていて、そのときはこの服を着るんだけど……って、いまはそんなことどうでもいい。
 お母さんの声に返事もせず、わたしは二階の自分の部屋に駆け込んだ。

 ヤバい、ヤバい、ヤバい。
 ケーキを食べたことおじいちゃんにバレたら、この『鹿子家』から追い出されちゃうよ。