マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「あんた、名前は?」
「か、鹿子桃花です」
「モンブランが好きなのか?」
「はいっ! 大好きです!」
「じゃあ桃花。これから毎週日曜日、ここに来い。モンブラン食わせてやっから」
「は?」
「心配するな。もちろんタダだ」

 わたしはぽかんと先輩を見上げる。

「そのかわり、食ったら感想聞かせてくれ。いいな?」
「え、でも、そのっ……」
「いいな!?」

 先輩がするどい目でわたしをにらみ、怒鳴りつける。
 やめてください。怖いです……

「わ、わかりました! いただきます!」
「よし。じゃあ次の日曜日、午後一時にここに来い」
「はいっ」

 そのとき公園に、かわいらしい声が響いた。

「おにいちゃーん!」

 髪をふたつに結んだ、小学校低学年くらいの女の子が、まっすぐ千彰先輩に向かって駆け寄ってくる。

「やべ。ばれたか」

 ぼそっとつぶやいた先輩の前に、女の子が立ちはだかった。

「千彰兄ちゃん! お店番サボっちゃダメでしょ! パパが怒ってるよ!」
「はいはい」

 うんざりしたように言ってから、先輩は女の子の前にしゃがみこむ。

千尋(ちひろ)、おまえ、またつまみ食いしただろ? クリームついてるぞ?」
「えっ、し、してないよ!」

 先輩は千尋ちゃんという子の口元を指先で拭って、それをぺろっと舐めた。

 あ、さっきわたしにしたのと同じだ。
 てことは、先輩にとってわたしは、このちいさい子と同じようなもの?