だけどおじいちゃんは、ケーキを食べることを許してくれない。
 いっしょに働いているお父さんとお母さんも、ガンコなおじいちゃんにさからえない。

 でも年に二回だけ、わたしの誕生日とクリスマスに、お母さんがこっそりケーキを買ってきてくれるんだ。
 それをわたしは、自分の部屋にかくれてひとりで食べる。
 おじいちゃんに見つかったら、お母さんが怒られちゃうからね。

 だけどひとりで食べるケーキは、ちょっとさびしい。
 大好きなものは大好きなひとといっしょに、「おいしいね」って笑いながら食べたいよ。

 それなのに今日も、おじいちゃんは言うんだ。

「西洋の菓子など、けっして口にしてはならん! わかったな、桃花!」

 おじいちゃんの頭は、おせんべいよりかたい。