マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「ち、千彰先輩!?」

 思わず叫んでしまい、あわてて口をふさぐ。
 そんなわたしをじろっとにらむのは、やっぱりあの千彰先輩。

 な、なに? 怖いんですけど。
 さっきはもっとにこやかで、やさしそうで、ステキだったのに……
 あの王子さまスマイルはどこへ?

 千彰先輩は「ちっ」と態度悪く舌打ちし、茂みのなかからのっそりと出てきた。
 頭や服に緑の葉っぱがついていて、あのマロンクリーム色の髪がボサボサだ。

「あの猫、どこ行った?」
「えっと……あっちに行っちゃいました」

 わたしが公園の出口を指さすと、千彰先輩は髪をくしゃくしゃと乱暴にかいた。

「くそっ、また逃げられた。足ケガしてるから病院連れていこうと思ってんのに、すばしっこいやつめ」

 そ、そうなんだ。ケガした野良猫を病院に……

 そのとき、千彰先輩がまたわたしをにらんでいることに気づいた。
 わたしは地面にしりもちをついたままだ。
 早く立たなきゃって思うのに、腰が抜けちゃったみたいに動けない。