マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「桃花」

 そんなわたしの耳に、先輩のささやくような声が聞こえる。

「好きだよ」

 胸がドキドキして、手が震えて、ものすごく恥ずかしかったけど、わたしは先輩のきれいな瞳に向かって言った。

「わたしも……千彰先輩のこと、大好きです」

 わたしの前で、先輩がうれしそうに笑う。
 その笑顔を見たらわたしもうれしくなって、おんなじように笑った。

「んじゃあ、もういっかい」
「へ?」

 千彰先輩の顔が近づいてくる。
 ええー、もういっかいって……ちょっと待ってください!

「おっほん」

 先輩のくちびるとわたしのくちびるがくっつきそうになったとき、後ろからわざとらしい咳払いが聞こえた。
 わたしと先輩は、ぱっと離れて手を離す。

「お、おじいちゃん!」

 そこに立っていたのはおじいちゃんだった。
 うちのお店の紙袋を抱えている。

「みやげのせんべいを忘れていたから、届けにきたんじゃが」

 そう言うとおじいちゃんは、わたしの手を引っ張り、千彰先輩から引き離した。

「桃花に手を出すことは許さん! おまえは『鹿子家』に出入り禁止じゃ!」
「ええっ、そんなぁ……」

 情けない声を出す千彰先輩を残し、おじいちゃんがわたしを引っ張って歩きだす。

「ち、千彰先輩っ」
「桃花っ」

 商店街の真ん中で、引き離されていくわたしたち。

 ああ、やっぱりわたしたちの恋は、許されない恋なの?