マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「だ、だいじょうぶです! たぶん!」
「たぶん?」

 パティシエの道は、遠そうだけど……でもふたりでがんばれば、なんとかなる!

「はい! わたしも手伝いますから! おいしいケーキを作って、またみんなでいっしょに食べましょう!」

 わたしは想像する。
 今度は千彰先輩のお父さん、お母さん、それから千尋ちゃんやクリームといっしょに、先輩の作ったケーキを食べる姿を。

 みんなで「おいしいね」って笑いあいながら、食べられたらいいな。

 わたしの言葉に、千彰先輩はちいさく笑った。
 そしてわたしに両手をつかまれたまま、「ついてる」って、つぶやく。

「え? なにが?」
「マロンクリーム」

 千彰先輩のきれいな顔が、わたしに近づいてくる。
 えっと思った瞬間、先輩はわたしの口元についていたクリームの上にキスをした。

「うん。やっぱりおれの作ったマロンクリームはうまい」

 いたずらっぽく舌をぺろっと出した先輩の顔を、わたしはぼうぜんと見つめている。

 せ、先輩……そういうこと、さらっとしないでください。
 わたしの顔が、かあっと熱くなってくる。