マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「ふいー、マジで緊張した」

 あのあとみんなでモンブランを食べた。
 「おいしいね」って笑いあいながら。

 やっぱり大好きなものは、大好きなひとたちといっしょに食べるのがいい。
 ひとりでこっそり食べるのなんて、さびしいよ。

 モンブランを食べ終わったころ、ちょうど開店時間になったので、わたしと千彰先輩は店を出た。
 そして商店街を歩きながら、先輩はずっと「緊張したー」って言いつづけているんだ。

「でもよかったね。あのガンコなおじいちゃんに『上達した』ってほめてもらえて」
「ああ……」

 前を向いてつぶやく先輩に、わたしは言う。

「あとは千彰先輩のお父さんに、認めてもらわなきゃね」
「そこが問題なんだよなぁ……じつはおれ、モンブラン以外のケーキ、まだ作ったことねぇし」
「えっ」

 わたしはかたまる。
 たしかにわたしも、千彰先輩が作ったモンブラン以外のケーキ、食べたことない。

 はじめて食べたモンブランみたいに、他のケーキもヤバいほどまずかったら……
 わたしはぶるっと体を震わせたあと、先輩の両手をがしっとにぎった。