マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「なかなか上達したな。ごちそうさま」

 先輩の顔が、ぱあっと明るくなる。

「あっ、あっ、ありがとうございます!」

 おじいちゃんがケーキをぜんぶ食べてくれたのは、今日がはじめてだった。
 いつもひとくち、ふたくち食べただけで、「出直してこい」と追い払われたから。

「せんべい屋のわしが、えらそうなことは言えんがな。あんたのお父さんに、この洋菓子を食べてもらったのかね?」

 おじいちゃんの言葉に、先輩は急に顔をしかめた。

「いえ、親父からはおれ、見捨てられてるんです。『おまえにはケーキ作りの才能がない』って。それからずっとしゃべってないんで」
「えっ」

 わたしはおどろいて先輩の横顔を見上げる。

 そんなの知らなかった。
 わたしには、『ケンカはよくない。家族なんだから』って言ってたくせに。

「食べてもらいなさい。きっとあんたの努力を、認めてくれるはずじゃ」

 おじいちゃんはそう言うと、おせんべい作りの準備をはじめる。
 先輩はちょっとうつむいたあと、スッと顔を上げて、おじいちゃんの背中に叫んだ。