マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「まったく懲りないやつじゃな」
「はい! 懲りません。今日もモンブラン作ってきました!」

 千彰先輩がおじいちゃんの前にモンブランを差しだす。
 おじいちゃんは今日も渋い顔をしている。
 お母さんとお父さんはもう慣れてしまったようで、お店の隅でくすくす笑っている。

 だけど千彰先輩は真剣だ。
 わたしもそのとなりで、ごくんと唾を飲みこむ。

 今日こそ、今日こそ、おじいちゃんに認めてもらいたい。
 あんなにがんばって作ったケーキのおいしさを、認めてもらいたい。
 それからわたしと千彰先輩がおつきあいすることも、許してほしい。

 おじいちゃんがフォークでマロンクリームをすくって、口に入れた。

 ドキドキドキドキ……

 わたしは緊張のあまり、先輩の手をぎゅっとつかむ。
 先輩はそんなわたしの手を、強くにぎってくれた。

「……うむ」

 おじいちゃんはひとことつぶやいたあと、ふんわりしたスポンジも口に入れた。
 わたしはおじいちゃんの口元をじっと見る。

 おじいちゃんは黙って食べつづけている。
 なにも言わないまま、食べつづけている。

 ひー、こわい。なんとか言ってよ、おじいちゃん!

 思わず叫びそうになったとき、おじいちゃんがお皿の上にフォークを置いた。
 いつの間にか、ケーキはぜんぶなくなっていた。

 おじいちゃんは千彰先輩の顔をじっと見つめて口を開く。