あの夏空の下、君と生きた七日間。

最初こそは病弱な母さんやサラリーマンの父さん、85歳のおばあちゃんにまでも心配され、一度は相談しようかとも考えた。

けれど言える勇気などなく、その内日常化してきたせいか、何も言われなくなった。

それでも、母さんが亡くなるまでには打ち明けようと思っている。

「それ、オムライスだよね?おいしそー!」

蕾が千春の弁当を覗きこみながら言う。半熟に焼かれているそれには赤いケチャップで葉っぱが一枚描かれていた。

「今朝母さんが入れてくれたの。最近の私の大好物なんだ」

そう言ってオムライスを頬張る千春。その顔は心の底からおいしそうな笑顔で、よっぽど好きなんだなぁ、と目に見えてわかる。

そのあとも4人で弁当を頬張りながら、世間話に花を咲かせた。

いつもは赤木とふたりで、あるいはひとりで食べているからか、こんな賑やかな場は久しぶりだ。

その分話が弾み、笑顔が溢れ、心なしか食欲もすすんだような気さえする。

そんな中、ちょうどバレーの話になり、マネージャー勧誘の件をようやく持ちかけることができた。

「どうかな?お試しからでもいんだけど、やってみるか?」

僕の問いかけに千春はしばらくうなるような声をあげ、悩んでいるようだった。やがて意を決したように口を開く。

「部活迷ってたんだよね。蕾ちゃんがいろいろ教えてくれたけど、どれも楽しそうで決めらんなくて……だから私でよければかまわないよ」