きみに、恋う










卒業式自体は本当につまらなかった。
相変わらず校長先生の言葉は長いし、祝辞は永遠と続くし、当事者だっていうのに隣でサユは眠っていたし、その隣でミノは大きなあくびをしていた。


ほんとうに、実感がない。
胸元につけている花と『卒業おめでとう』をみたって、本当にこの体育館に向かうのが今日で最後だったのかも信じられない。

気づけば退場になっていて、下級生たちが仲良かった先輩にあたる人たちに向かって泣いたりしているのを見て、ああ本当に終わりなのかあなんて薄っぺらい気持ちを持ちながら教室に戻った。



「ねみい」


自分の席に戻れば、先に座っていた隣の席の男が大きなあくびをするもんだから、わたしもつられてしまって慌てて手で口許を隠した。



「はっ、つられてやんの」


隠したところがバレバレで、席に座った私のほうを指さしてけらけらと笑う篠崎にぐっとにらみをかましてやった。



「だれのせいだと」

「勝手につられたのはお前じゃん、俺悪くねーし」

「うっざ!」


口を開けば結局こう。
わたしたちの間に恋愛のれの字もありえないし、想像もできない。

篠崎がわたしのことを好きだなんて言った日には本当に地球は滅亡するだろう、本当そう思う。

だから、好きかもしれないなんて感情は卒業とともにこの教室に置いていくつもりだ。





「しのー、卒アル書いてよー」

「おー、俺のもかいて」