きみに、恋う




篠崎のことを好きになってしまったのはいつからだったのだろうか。
きっかけなんて全然わからないけれど、自覚してしまってからは楽しいと苦しいでぐちゃぐちゃだった。



篠崎なんかタイプじゃないと言って、
森下なんて対象外だと言いあっていたあの高2の初めに戻れるのなら、

そんなこと言っちゃダメだって過去に自分に言い聞かせたい。



わたしと篠崎が恋人になる未来はちっとも想像つかないけれど、それでも想像したかったと思う。

わたしたちが手を繋ぐなんてことは一生考えられないけれど、ほんとうは手だって繋ぐような関係になりたかったのかもしれない。



ねえ、さみしいよ。
このままこの教室に篠崎への気持ちを置き去りにしていけるのならそうしたいけれど、そんな簡単には手放せないかもしれないよ。



篠崎が寂しいなんて書くからだ。

わたしが寂しいなんて書くからだ。




先生の振り返る言葉に少しだけ泣きそうになって、俯いた。

それからさっきのように篠崎のほうを盗み見れば、ばち、と視線が絡んでしまった。




「……っ、」

「…なに、泣きそうな顔してんの」

「……うっさい、」



小さな声で、からかう言葉が飛んでくる。
ああまた結局いつものテンションだ、最後までこの男の前で素直になるなんて無理だと悟った。




「──寂しいよ、おれも」

「……っ、」

「だから、泣くなよ」