「ほら、できたよフレヤ」

「ありがとう、お爺さん。すごく助かったわ」


お爺さんがふみ台から下りて微笑む。
いつものようにお昼のお茶を楽しんでいたら、燭台を駆ける台が金具ごと落ちたのだ。お爺さんは皺くちゃな目をパッと見開いたかと思うと、一度お家に帰って、修繕に必要な道具を持って戻って来た。

そしてあっという間に、直してしまった。
凄い。


「お茶が冷めてしまったね。今いれてあげよう」

「いいわ、お爺さんは座ってて! 私がやるから」


椅子を勧めて道具を取り上げる。
玄関の傍の小卓にそれを置いて、私はやかんを火にかけた。


「明るいうちでよかったね。ほかに具合の悪い場所はないかい?」

「平気よ。でも、古い家だから、あげたらキリがないっていうのが本当」


お爺さんは朗らかに笑って、うんうんと頷いている。
優しい午後の時間が大好きだ。


「冬になる前に、どこから隙間風が入るか見つけたほうがいいな」

「そうだ。薪を集めなくちゃ」

「心配いらないよ。持ってきてあげるから」


お茶をお爺さんの前に置いて、私も席についた。