「フレヤ様ぁぁぁっ!!」


裏切り者の手を蹴って、木の葉を巻きあげる。
森の精は私の味方だ。蔓と葉が壁を作って、獣のように牙を剥いて大臣を追い返した。


「……」


かつて、私が守っていた北の砦。
それが落ちたのは、私のせいではない。

私を魔女と呼び背中を向けた多くの民に、もう愛情は感じなかった。
心が冷めてしまって、どうでもいい。
自分たちの選んだ勇者に、自分たちの選んだ聖女に、自分たちの選んだ王に、せいぜい守ってもらえばいい。


「……」


家の前でお爺さんが私の帰りを待っていた。