私の心はもう、国の繁栄や愛と平和からは離れてしまった。
そんな立派な聖女は、もういない。

だけど、世界を救いたがる聖女が決して少なくない事も知っていた。


「──神より選ばれし聖なる者よ、汝の名を答えよ」


ふぁん! 
ふぁんっ!


周りにどんどん美しい球体が出現して、聖女の顔が映し出される。雰囲気からして、まだ自分が聖女だとは自覚していない少女もいる。

球体が部屋に満ちてから、私はすべてを神に委ねた。


「──汝等に力を与える。ある者には武力、ある者には知力、ある者には浄化、ある者には癒し、そしてある者には破滅の力を。穢れなき心と気高き魂を持つ者へ、私のすべてを授けます」


すぁん!
ぅぃん!


私の体から聖なる力が抜けて、最もふさわしい次なる聖女へと飛び込んでいく。