どうせ追放された孤独な元聖女だ。そんなぼっちにどんな秘密が漏れようと、みんな痛くも痒くもないでしょう。


「んふふ~♪ お元気ですかぁ~? みなさぁ~ん???」


掌を翳して気を高める。

それから3時間、たっぷりと覗きを楽しんだ。
浮気する公爵、男色の鑑賞に嵌る貴婦人、魔族と通じる医者、盗みを働く召使い、母親の恋人と密会する令嬢、娼館に通う祭司、みんな人生を謳歌している。


「悪いコたちねぇ~♪」


悪い顔で笑う私の顔が反射しても、気にしない。
 
でも、別の事が少し気になった。砦付近や山賊の暴れている村を覗いておく。私が手助けしたら調子に乗るだろうから、あまりに酷い状況にだけ、少しだけ、本当にちょっとだけ、助け船を出した。

興覚めだ。