草に頭をこすりつけて、一国の王子が土下座しているのだ。余程の事だろう。
よっぽどの馬鹿。


「本当に帰って。そして2度と来ないで」

「フレヤ! お前に愛国心はないのか!」

「ないわよ! 私を棄てた国なんだから!」

「こうして拾いに来てやっただろう!!」

「ああそう私はモノってわけ!?」


頭に血が上り怒鳴り散らした。
 

「モノではないが女だろう!」

「──」


ああ、もう嫌だ。
背を向けて歩き出した。


「なんだお前は! 俺の言う事が聞けないのか!」

「ああもう死んで」


天を仰いだ。
大地の精が集って緑の壁を作り、私を守ってくれる。

 
「フレヤアァァァッ!」


私は耳を塞いだ。
私ごと過去を消したい。

愛が燃え尽きた悲しさなら、まだ泣けた。
その愛が安っぽく愚かな幻想だった悲しさは、涙さえ絞り出せない。

虚しすぎる。