「ぐふあっ!」

「……」


偽の書状を持って来たイルヴァに、鉄槌を食らわせた。
新調した杖をひったくって、全力でスイング。

どさり。

ズタボロで傷だらけの未熟な聖女が、仰向けに倒れる。
彼女の体の上に杖を放り、全回復させた。


「……っ」

「あんた知らないのね。王宮に入った事あるの? 私が殿下の文字を忘れたとでも?」

「クソ女」

「──なんて言った?」


傷の痛みがなくなって跳ね起きたイルヴァが、偽の書状を千切って捨てた。


「そんな性悪だから王子に棄てられるんでしょ。アバンからも」

「二股をかけたのはあちら。色に溺れてリーダーの務めを忘れたのは、そちら」

「魅力がないからそっぽ向かれるのよ!」


それが捨て台詞? 
 

「あ、そう。やられるほうに責任があるのね」

「そうよ!」

「魔族に負ける弱い国なんて滅びればいいわ」


大地の精霊に力を借りて、イルヴァを持ち上げて結界の外まで吹っ飛ばした。