パーティーを追い出された?
そうだとしても、留飲は下がらない。
アバンが逃がしてあげた?
そうだとしたら、呆れてものも言えない。


「ですから……ッ、希代の聖女であられるフレヤ様のお力が必要です……!」


勇者を誘惑して大先輩の聖女を追い出した女が、よく言う。
さっきのは自分が力不足だからと謙遜したのではなくて、手に負えないと甘えただけだ。アバンの真意がどこにあるかわからないけれど、使える聖女を必要としている状況なのはわかった。

どうでもいい。

私に勝って喜んでいたこの女が、苦しむなら。
ここで笑っていてやる。


「あなた、怪我をしているわね」

「あ……」


イルヴァの姿は酷い物だった。
顔も手も、露出している所は泥だらけの傷だらけ。
敗れた法衣の所々には血が滲んでいる。

跪いたままなのも私への敬意ではなくて、ただ立てないだけでしょ。


「可哀相に」


私は回復魔法をかけた。
けれどそれは、この新米聖女を思いやっての事ではない。