私たちが体育館へ入るとかなりざわめきが起こる。
「?どうしたのかな?」
その理由が分からないのも私だけ。
「白。テーマ項目見に行こう!」
そう言って私の手を握って歩き出す美乃。
「うん。」
体育館のステージ側に張り出されているテーマの項目はかなり沢山あり迷ってしまう。
「ここに書かれている項目について今日一日で調べてレポートにまとめればいいんだよね」私
「あ、あの里中さん!」
ふと名前を呼ばれて声がした方を見れば顔を真っ赤にした男の子が立っていた。
しかし彼を見ても名前が分からない。
「?はい?」
「き、今日の髪型凄く…可愛いね」
男子生徒
「!あ、ありがとう……」
初対面で可愛いと誉められたが、知らない相手に何処か警戒している自分がいた。
「これ、紅がしてくれたの」
紅の話になると嬉しそうに話す私の顔を見て、ぼーーとし始める男子生徒。
しかし何故かすぐにおどおどしはじめて最後にはペコペコと謝って去って行くではないか。
「え??」
突然のことにキョトンとしていると…
「はーーく!」
どすんとのし掛かる重さと同じ匂いにため息をつく。
「紅、暑苦しいから退いてよ」
「白までそんな冷てーこと言って。俺もうぐれようかな…」
「たかが妹にあしらわれたくらいでグレんなって」呆れる廉
そこで急に体育館の入り口が騒がしくなる。
そちらを見ると碓水先輩と田所先輩が入ってくる所だった。
心底嫌そうな顔の碓水先輩と嬉しそうに女子生徒に手を振っている田所先輩。
「うわーー!本当に格好いいよね!」
「うんうん!けど碓水先輩って女嫌いなんでしょ?」
「あ、それ私も聞いたー!告白されても好きな人がいるからって断られるし塩対応なんだってー」
「えーー。けどあんなイケメンなら塩対応でも側に居たいなー」
なんて話し声が聞こえてしまう。
これまでの碓水先輩を思い出して塩対応ではなくむしろ優しい姿しか見たことなかったから信じられなかった。
それに……
「……好きな…人?」
小さく呟いた私の声は誰の耳にも届かず消えてゆく。

