放課後迎えに来た明美と女子バスケ部の部室に向う。





女子バスケ部の3年生の先輩たちは嬉しそうに私の手を握って振り回す。





「本当にありがとう!!話は明美ちゃんとか他の同中の子から聞いてるよー!!」





「全然遠慮せずにボール回してー!」





「もう貴女に女バスの未来がかかってるからー!!」

口々に言われちょっと困ってしまう。





他の2年生の先輩や1年生の部員たちも期待のこもった瞳で見つめてくる為、私は顔が引釣ながらもなんとか笑顔を保つ。




明美から借りた青いユニフォームに着替え、軽く運動しながら体育館に入ると待っていたその光景に思わず口を開いたまま立ち止まってしまった。





隣にいる明美にポツリと呟く。





「女バスってこんなに人気だったんだ……」





それは体育館の2階にある客席が学生でいっぱいだったから。





「え!?し、知らないよ!!こんなの初めてだって!えーー!?なんでーー!?」





私以上に驚いている明美に他の女バスの子が教えてくれた。





「なんか白ちゃんが試合に出るって話が広まったみたいだよ?」





「なんで私!?」





「そりゃ白は有名だからじゃない?」

同じ中学だった倉木志保が言う。





しかし2階の観戦ブースには男子生徒だけではなく女子生徒の姿もある。




これは明らかに男子バスケ部を見るのが狙いだろう。





「わ、私なんで有名なの!?…あ、皆初めて出る選手以外の人間に興味があるのかな?」

一人で考えていると





「おーーい!白!!」





名前を呼ばれて声がする方をみれば体育館の中央に紅と他、男子バスケ部の数名がいた。





自然と笑顔になる。





「紅」





近寄ると紅が私の頭を触る。





「お前この髪で試合するつもり?」





そこで自分が髪を下ろしたままだったことに気が付く。





「あ、忘れてた。」





すると紅は自分のポケットから髪ゴムを取り出して私の髪を纏めはじめた。




これは普段家でもすることなので大人しくされるがままになるが妙に客席から悲鳴が上がる。





「……ほい。まだ相手の学校来るまで時間あるし一緒にウォーミングアップしよーぜ」





「うん、いいよ」





私は明美に紅とウォーミングアップすることを伝えると明美は少し顔を赤らめながら頷いた。





どうかしたのかな?と首を傾げながらも紅からボールを貰う。





「なぁ白。久々に1対1しない?」





その言葉にニヤッと笑った。





「いいよー。何懸ける?」





ボールを左手でくるくる回しながら言うと紅もニヤッと笑った。





「俺今晩のアイス~!」





「私もー。じゃぁ今晩のアイス懸けて先手二勝決めね!」





それは先に連続で二回点数を決めた方が勝ちと言う私たちのルールだ。





「じゃぁ先白からな」