仲間でもない、まして姫でもない。そんな女がウチに出入りしている。そんな情報流れたら面倒だ。


「……波瑠は、、まだここにいさせる」


いつもの慎らしかぬ選択に俺たちは目を見開いた。いつだって慎は総長として必要なものだけ傍に置いていた。

だけど

「理由は?訳もなく傍に置きたいって言うならそれはただのエゴだ。あの女の為にもならない」


「……私情だ。湊……価値がある。幹部と下を繋げてくれる。」


久しぶりにこの男に怒りを感じた。俺は思わず立ち上がり1人がけのソファに腰を下ろしていた慎の胸ぐらを掴み睨みつけた。


「ちょっ!湊も慎も落ち着いてっ!!」


「この状況において何をそんなに落ち着く必要がある!!コイツはなぁ!!!」


「……何をそんなに恐れているんだ湊。俺たち2人いれば何だって護れるだろ?」


中学時代。慎と2人で高校生の不良相手に喧嘩したとき。その時からだコイツが、俺が、
2人いれば何だって出来るって感じたのは。


「しっ、慎!!僕も湊の意見に賛成だよ!たしかに波瑠ちゃんとはまだまだ仲良くしたいけど…けど!波瑠ちゃん言ってた!普通の女の子の生活送りたいって。
巻き込んだのは僕達だけど今ならまだ手放しても間に合うよ」


「慎お前がその気ならてめえでしっかり護れよ。俺はアイツがここにいるのは反対だ」


それだけ言うとムシャクシャした感情を放つように幹部室の扉をくぐり出る。杏理や彼方の呼び戻す声が聞こえるが戻る気は露も起きなかった。


青龍倉庫を出て、バイクにも乗らずそこら辺をふらふらと歩く。いっそのこと今狂乱の奴らが出てきてくれりゃァ楽なのに、、なんて思いながら路地裏に入る。


____バタバタバタ


前方から多くの走り音が聞こえ下げていた頭を上げる。すると視界に入ってきたのは、、


「あの女と、壱哉、、望??」


3人が何故か黒い集団に追いかけられるように俺の方に疾走してくる。……これはフラグ立てたのか??

「あっ!!湊副総長!逃げてくださいっっ」

壱哉が俺を捉えたようで叫ぶ。逃げてくれって言われてもなぁ、こちとら怒りがちょうど溜まってて発散したいところなんだよ。


「おいお前ら。そいつ連れて倉庫まで行け。俺がコイツらボコす」


「「「えっ!!」」」

驚きで止まりそうな3人。催促すると、顔を合わせる壱哉たちだったが、女の手を引いて再び走り出す。