蒼空君から告白され早二週間。

その間の美空の僕に対する態度は
意外にも普通だった。

「兄さん」

夕飯後、ソファーでゴロゴロしていたら
美空から声を掛けられた。

『何だ?』

スマホから目を離しねっころがったまま
美空の方を向いた。

「蒼空から告白された?」

何で⁉

「やっぱりね*♬೨

はい、スマホ」

笑いながら、僕の手から
滑り落ちたスマホを渡してくれた。

そして、二週間前の
蒼空君の言葉を思い出した。

『サンキュー。

なぁ、美空は蒼空君と
別れて寂しくないのか?』

失恋した(しかも僕のせいで)妹に
訊くことじゃないのはわかってるが
僕と普通に話してくれるのが不思議だった。

「そうね、寂しくないって
言ったら嘘だけど、
蒼空の好きな人が他でもない
あたしが大好きな兄さんだって
気付いた時は嬉しかったんだ……

だから、あたしのことは気にしないで
蒼空の気持ちに向き合ってあげてよ」

僕はいい妹をもったな。

『わかった』

*★*――――*★**★*――――*★*

更に、二週間後。

僕達はあの時と同じ喫茶店にいる。

「返事、聞かせてくれますか?」

美空に言われた後、
僕は二人が付き合ってたとか
考えるのをやめた。

そして、気付いてしまったんだ……

僕はいつの間にか
蒼空君を好きになっていたことに。

『僕でよければ、よろしくね』

これが僕の答え。

「本当ですか⁉

ありがとうございます‼」

こうして、妹の彼氏だった彼は
僕の彼氏になった。