ピピピピピピピピ――。





枕元で鳴り響くアラームを止めて、一颯は手を伸ばしたまま動きを止める。
久々にあるしっかりとした公休だが、ついクセでかけてしまったアラームに腹が立つ。
だが、起きてしまった以上二度寝は出来ないタイプの一颯はのっそりとベッドから起き上がった。





「眠い……」





しっかりとした公休に録り溜めたドラマを観ながら夜更かしをするつもりだったが、疲れからか予想よりも早く寝てしまっていた。
だいぶ寝たというのに、まだ眠い。
身体はまだ疲れが残っているのか、重だるい気がする。






一颯は背伸びと欠伸をするとベッドから降りて、ロフトの階段を下ってリビングへ向かう。
そして、そのまま洗面所に向かって歯磨きと洗顔をして、溜めていた洗濯物をドラム式の洗濯機に放り込む。
洗濯を回している間に朝食と昼食兼用の食事を作った。





「TV観よ……」





一人暮らしというものはどうも独り言が増える。
他に誰がいるわけでもないのだからいちいち言わなくても良いのに、口に出してしまう。
一颯は幼い頃から多くの人に囲まれて育ち、職場も賑やかな方なので一人になるのは自宅にいるときだけ。
寂しくはないが、ついつい独りで話してしまうのは一人暮らしあるあるだと彼は思い込む。






TVをつければ、丁度昼にやっている情報番組で今話題のものを取り上げていた。
季節的に梅雨が近いせいか、髪が湿気で広がりづらくするアイテムや雨の日の万能アイテムが取り上げられていた。
一颯はソファーに深く腰掛け、呑気にコーヒーを飲む。
昔はカフェオレしか飲めなかったが、今はブラックコーヒー一択だ。





「あー、平和だなぁ……」





のんびりとした休日は久し振りだ。
普段は捜査に明け暮れ、自宅にもなかなか帰ってこれなかった。
もう少ししたら暫く振りに部屋の掃除をしよう。
そう思いつつ、コーヒーを飲む。
すると、情報番組が急に報道番組へと切り替わった。





『速報です。◯×区のビルで暴行傷害事件が発生し、犯人が逃走。犯人は何らかの凶器を所持していると見られ――』






アナウンサーがそう告げている最中、ローテーブルのスマートフォンが鳴った。
ディスプレイには同じく休暇中の汐里の名前が表示されている。
嫌な予感がした。
出来れば、電話を受け取りたくない。
だが、受け取らなかったら受け取らなかったで後が怖い。