「直・・・早くお前の花嫁姿見たい・・・」



先生は、私の肩に手を回し、甘い声を出す。


「ありがと、先生」


私は先生の体に顔をくっつけた。



もっといろんな恋をすれば良かったなんて思わない。


私は、先生との恋が初めての大きな恋。


そして、その相手と結ばれる。




『もっといろんな恋愛した方が良かったんじゃない?』なんて言う人もいたけど、

そんな風に思わない。


もう出逢ってしまったから。


運命の人に。




「それではただいまから・・・」




結婚パーティーの始まりのアナウンスが聞こえて、私達は席につく。




華やかな音楽とライトの中、登場した龍と依子は、幸せそうな笑顔を振りまいてくれた。


龍と依子は、いつも同じ髪の色。


ダークブラウンの渋めの髪を、ツンツンに立てた龍。


依子は、肩までの髪をくるくると巻いて、お姫様のようだった。



私もゆかりも涙を我慢するのに必死だった。


依子の昔を知っているから・・・

こんなにも幸せそうな依子を見ていると、母親のような気持ちになってしまう。



『イケメン狩り』なんて呼ばれてた頃。


依子は、本当の恋愛から逃げて、軽い恋を繰り返した。


誰でもいいから自分を好きだと言う男性を常に近くに置いていた。


そうしないと、自分が存在する意味がわからなかったと依子は言ってたっけ。