玄関からお母さんの声が聞こえた。



「直~!!!ゆかりちゃんよ」




私は、急いで手を洗い玄関へと走った。




「直~!!!とうとう明日だね。緊張してるかなと思って顔見に来た」


玄関には、笑顔のゆかりがいた。


ほっとした。


私の頭をそっと撫でたゆかりは、泣き出しそうな私の顔を覗き込んだ。



「これね、あげる!手紙書いたの」


「えーー!ありがとう。でも、絶対泣いちゃうよ・・・」



私の顔を見て、ゆかりも泣きそうになっていた。




「あ~だめだめ。泣かないでね。明日、かわいい顔で結婚式出て欲しいから」


「ありがとう。ゆかり~!大好き・・・」



ゆかりのおかげだね。


ゆかり・・・ありがとう。



今まで頑張ってくることができたのは、ゆかりがいたからなんだ。



最初に先生を好きだとゆかりに話したのは高校の屋上だったね。


ゆかり…


いっぱいいっぱいありがとう。



「依子に無理しないように言っておいてね。お腹大丈夫かな?」


「体調良いみたいだよ。ちゃんと私が見てるから安心して」


6月末が予定日の依子。

大きいお腹で頑張ってくれていた。




「じゃね!!また明日!!」


「ありがと・・・・・・」



私は、半泣き状態のゆかりに手を振り、台所へ戻った。