「お!!貸切だぁ!!」 先生は車のライトを上向きにして、海岸を照らした。 誰もいない海。 まるであの夜のよう。 初めて先生と結ばれたあのクリスマスの夜。 「そのコート懐かしい」 先生はコートを滅多に着ない。 あのクリスマスの夜、海岸を歩く黒いコートの先生にきゅんきゅんしたことを思い出す。 「直、これでもう堂々と手を繋いで歩けるな」 「うん。ありがとう」 先生は、片手をコートのポケットに入れ、もう片方の手を私に差し出した。 ひんやりとした私の手が、先生の手の温もりで温かくなる。