俺は時計を見た。



まだ3分くらいだったが、直にとってこの3分はとても長いんだろうと思う。




「早く行ってあげな。今、不安をいっぱい抱えてる彼女の元に・・・」



荒木、随分大人になったな。


高校時代と今とでは、やっぱり変わってるんだな。


それだけ辛い経験をしたのだろうか。




「もうひとつ言うことがある。お前には最初に言いたいと矢沢が言ってたことなんだけど・・・俺、結婚するんだ」




俺はベンチから立ち上がり、ポケットから手を出した。




「そっか・・・・・・悲しいけど先生の口から聞けて嬉しい。一番に話してくれてありがとう。私、先生を好きになって良かった。私もさっき話した男友達のこと、ちゃんと考えてみることにする。もし私みたいに辛くて苦しい思いをしているなら、かわいそうだもんね」