俺もきっとそうなるな。
直に好きな男ができたとしても、俺は直を嫌いになんてなれない。
一生直を思い続けるかも知れない。
「俺は、生徒の中から、好きな相手を見つけたわけじゃない。好きになった相手がたまたま生徒だった」
本当にそうなんだ。
生徒に恋をしない自信があった。
直は特別だった。
「あいつが、俺の生徒だったことで、俺も苦しんだけど、それ以上に矢沢は苦しんだ。今でもな、あいつはうちの高校の制服を着た子を見ると、隠れてしまう」
荒木は驚いたように俺の目を見た。
そして、表情を緩めた。
「そうなの・・・矢沢さん、今でもそうなんだ」
「あいつは、自分が荒木の立場だったかも知れないって言ってた。もし、俺と付き合ってなかったら、荒木が今も俺を想ってくれているように、自分も卒業してもずっと俺を好きで苦しんだと思うって。だから、同窓会から逃げたかった。俺も矢沢も・・・
みんなに堂々と発表したいと思ってはいるんだけど、その影で辛い思いをするお前みたいな生徒がいる。だから・・・」

