「矢沢が、どうしても荒木と話してくれと頼んだ。あいつは彼女だからって余裕があるからそう言ったと思うか?」
「私に同情してるんでしょ」
派手な化粧と服装は昔と変わっていない。
にらむような目つきで俺を見た。
「あいつは、今泣きたいくらい不安で辛いと思う。でも、荒木の気持ちが痛いほどわかるからどうしても荒木と話してほしいと言った。もちろん言われたから来たわけじゃないけど。俺のことを、昔からあんなに好きだと言ってくれて・・・ありがとな」
俺は直の言葉を思い出す。
直は今・・・どんな気持ちだろう。
「今も好き」
荒木は、真っ直ぐに俺を見つめて、強い口調で言った。
これも、昔と変わってない。