『俺、余裕なんだと思ってた。だって、直っぺは、学校でも先生先生って先生のことばかり話してるし、俺なんか入る隙間もない。だから、直っぺの彼氏は不安なんて感じないんだと思ってた』



「余裕なんてないよ。相手の心の中を全部知ることなんて無理だからな。悪かったな。いつもはこんなキャラじゃないんだけど・・・ごめん」




要君は、こちらこそすいませんと何度も謝った。



要君にとって、最悪な告白になったことだろう。




直に電話を渡そうとした。


直は首を振った。




「じゃあ。いつかまた違う形で話せるといいな」




『はい。ありがとうございます。もうあきらめるからって直っぺに伝えてください』





電話を切った。



俺は何も言えずに、ただ直の肩に手を回し、直の首を俺の肩に乗せた。