「ごめんね、先生。嘘ついて、ごめんなさい」



「ごめん、直。俺・・・どうすればいいかな。どうすればお前をラクにしてやれるんだろう」




直は、俺の腕をグイっと押し、怒った表情でにらみつけた。



「先生!!どういう意味?私、今のままで幸せだよ。私、苦しくないもん」




「でも・・・俺に娘がいるから」




ドン・・・



細い体の割りに力が強い。


俺はわき腹にパンチを食らった。



「私、先生が好き。今の、先生が好き。今の先生がいるのは、今までの過去があるから。もし、先生に娘さんがいなかったら、こんなに先生を好きじゃないかも知れない。先生は、今みたいに優しい人じゃなかったかも知れないんだよ」



直、お前・・・最高。