「スーツ着てるの俺だけじゃない?ちょっと張り切り過ぎたかなぁ?」




ネクタイを少し緩めた先生が、周りの人を見ながら照れ臭そうな顔をした。




「かっこいいからいいの!!スーツでデートなんて珍しいもん」




私は、先生のスーツ姿が大好き。


もちろん、白いジャージが一番だけど。




「おー!!教会で模擬挙式もあるって書いてるぞ!行ってみる?」



急いでケーキを食べた私達は、細い階段を走って、教会へと向かう。


たくさんのカップルが手を繋いで、教会の中に立っていた。



ろうそくの灯りだけの暗い教会。


オレンジ色に光るろうそくが浮かび上がるようで、幻想的だった。


パイプオルガンの音色が美しくて、そこにいるだけで心が落ち着く。


 
「やっべぇ。俺、何か・・・感動してる」




右手を胸に当てた先生が、天井を見上げた。



私は、先生にそっと寄り添って、同じように天井を見た。




「うん。私も感動してる。こんな教会で結婚式したいなぁ」




左手を私の肩に回した先生は、その手をグイっと先生の方に引き寄せた。