「…くしゅっ! さむっ」 ポケットに手を突っ込んで、冷たい風が吹くたびに私は身体を縮こませる。 「お前、病み上がりなんだからもっと着込んでこいよ。」 「だって、朝は暖かかったんだもん」 夕方になるとこんなに冷え込むと思わなくて つい上着を着てくるのを忘れてしまった。 武は私の言葉にため息を付くと、気づいたように 自分のバックから何かを出して私に差し出した。 マフラーだ。