「ついいっぱい買って来ちゃったんだけど、沙耶香ちゃんはどれがいい?」

そう言ってソファーの前のローテーブルにアイスを1つずつ並べていく。

バニラ、ストロベリー、クッキーアンドクリーム、ラムレーズン、グリーンティー、チョコレート…

ほんといっぱいありますね、と思わず笑ってしまう。

「…んー、迷いますけど、クッキーアンドクリームで」

そう言うと、

「お、予想通り!何かちょっと嬉しい」

とはにかむように笑う。その笑顔に、きゅ、と心臓が掴まれた気がした。

「…大石さんはどれにします?」

…バニラ、かな。

「んー、俺はバニラで。何だかんだで王道が1番好きなんだよな」

ふふ、と思わず笑みが溢れる。ん?と覗き込まれて、私も当たりました、と言えば、俺たちすごくない?と満面の笑み。
7歳も年上なのにそれが可愛くて、またきゅ、と心臓が掴まれる。

こんな何気ないやり取りが幸せだな。

ーそう思いながら2人でアイスを食べたこの日、私は大石さんのことが好きだと認めた。