愛しても、いいですか

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…はぁ。今日何度目か分からない溜息を落とすと、「…幸せ逃げちゃうよ?」と古くからの迷信を本気で信じている訳ではないだろうけど、由紀にそう言われた。

今日は由紀と会社近くのお気に入りのエスニック料理のカフェにランチに来ている。私はグリーンカレーを、由紀はナシゴレンを頼んだ。

料理が来るまでの間、かなりの溜息を吐いている自覚はある。

「同棲生活、大変なの?」

心配そうに問われて、

「…同棲じゃなくて同居、ね。ううん、そっちは特に問題ない。ちょっと甘やかされ過ぎてるけど…」

由紀にはさっき先週末に起こったことを全て話し終えたばかりだ。

「え、まさかののろけですか…」

じとっと冗談っぽく、軽く睨まれた。

「違う違う!のろけたつもりは全くない」

「じゃあその溜息はなーにー」

可愛く覗き込まれるけど、こればっかりは何て答えて良いか分からない。