愛しても、いいですか

「…どういたしまして。どれも可愛かったから、全部買っちゃった」

そう言って笑う大石さんはとても満足そうだった。
貧乏性の私は、あんな高級ブランド店でこんなに服や靴を買ってもらったことにまだドキドキしている。

さあ、次はどうする?と言う大石さんに、「次は薬局に行きたいです」と伝える。

このまま駅ビルで買い物をしていたら、大石さんは確実に私に色々買い与えようとするに違いない。絶対そうだ。大石さんのことがちょっと分かってきた気がする。

「え、洋服はもういいの?」

ちょっと残念そうな大石さんに、もう充分過ぎるくらい買ってもらいましたから、と苦笑しながら伝える。
持って来た洋服と組み合わせればかなりのパターンが出来上がるだろう。

そう?なら薬局行こうか。そう言ってまた私の手を引く。さっきから自然なその行為に、不思議と嫌な感じはしなかった。