愛しても、いいですか

着替え終わった頃を見計らって長嶋さんから声が掛かる。
そっとカーテンを開けると、とってもお似合いです!と長嶋さんが営業スマイルを見せてくれ、不安になって隣の大石さんを見れば眩しそうに目を細めて、「…可愛い」と言ってくれる。その顔にまた胸がときめきそうになり、

「他も着てみますね!」

と慌ててカーテンを閉めた。
危なかった…イケメンの笑顔は心臓に悪い…

その後ワンピースを含んだ3着ほどを試着して、それらに合う靴も2足追加し、これ全部下さい、とレジに向かう大石さんを必死で止める。
大石さん!と言う私を目で制して、結局大石さんはその全てをカードで購入してくれた。

「…あのっ!ありがとうございます…!」

お店の外まで見送られ、いつまでも丁寧に頭を下げる長嶋さんが見えなくなった所で大石さんにお礼を言う。