愛しても、いいですか

そしてもう一度リビングに戻り、右側にあるキッチンとその奥にある大石さんの寝室も案内してくれた。

「夜寝る時はこっちで一緒に寝てもいいよ」

ニヤリと笑ってそう言う大石さん。

「…寝ません!」

ぷぃっとそっぽを向く。面白そうに笑う大石さんに、揶揄われたんだと気づく。
…全くこの人は…

ひと通り案内してもらって、この家にあるものはいつでも好きにしていいからね、と言ってくれる。

「とりあえず持って来た1週間分の荷物、片付けて来る?」

「はい、そうさせてもらいます」

スーツケースを部屋まで運んでもらい、持って来た洋服をクローゼットに掛けたり、まずは生活環境を整えさせてもらった。

荷物を整理しながら、とんでもないことになったなと思う。
期間限定の彼氏が出来た上に、一緒に暮らす?
そんなことを言い出す大石さんはつくづくぶっ飛んでると思うし、それに何だかんだ従ってしまう私も私だ。
私は、きっと失恋のせいでおかしくなっているんだ。そう思おう。

大体片付け終えてリビングに戻る。
大石さんはソファーに座ってパソコンに向かっていた。

「お仕事ですか?」

「うん、メールだけチェックしてた」

そうしてパタン、とパソコンを閉じる。