愛しても、いいですか

「家事はいつも家政婦さんに頼んでいるから、掃除とか洗濯とか料理とか、そういうのは沙耶香ちゃんやらなくて大丈夫だから」

…家政婦さんまで…それもそうか、大石さんは仕事が忙しい人だ。家事なんてやっている暇はないだろう。こんな家に住めるのだから家政婦さんを雇うのだって当然と言えば当然だ。

でも何もしないでただ住まわせてもらうというのはさすがに落ち着かない。

「家政婦さんは毎日来てるんですか?」

「うん、林さんっていうおばちゃんが来てくれてる」

「じゃあせめて土日だけは私に家事やらせてもらえませんか?何もしないでこの家にいたらダメ人間になりそうで…」

そう言うと大石さんは、

「やっぱり沙耶香ちゃんは面白いな」

そう言って笑い、わかった、林さんにはこれから平日だけでいいとお願いしておくよ、と了承してくれた。