いやいや、毎回色んな女の人連れてたじゃないですか、立派なたらしじゃないですか、と言いながら手でレバー串を受け取る。

「心外だなー。それにもうしばらく女の子連れてきてないし…」

ネギマを食べながらボソボソっと呟く大石さん。

「はいはい」

大石さんを軽くいなしつつ私もレバー串にかぶりつく。

「まぁいっか。よし、今日は久しぶりだし、ここはお兄さんがご馳走してあげよう!」

「…33歳はもうお兄さんじゃないし。おじさんだし」

「…沙耶香ちゃんは相変わらず手厳しいな」

そう言って苦笑いし、大石さんが私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

…骨張ったゴツゴツした大きな手。細くて繊細だったあの人の手とは違うその感触に、

(あ…ヤバイ…
これは思い出してしまう…)

ポロっ。
不覚にも一粒、涙が零れた。
ポロっ、ポロっ。

一粒許してしまうと、涙は後から後から溢れて止まらない。

「えっ、沙耶香ちゃんどうした…⁉︎」
「沙耶香…⁉︎」