職業…身元…言われて気づく。
私、大石さんのこと、何も知らない…
私が知っているのは名前と年齢と隼にぃの大学の同級生ってことだけ。

「…仕事が忙しい人ってことしか…」
 
はは、と渇いた笑いを見せれば、

「…それで期間限定彼氏を承諾したと…?」

むぅ、と膨れた顔で軽く睨まれる。

「…ごめん…」

思わず謝ると、

「まぁ、でも隼にぃの友達なら間違いないか…」

そうして由紀はまたアイスミルクティーをひと口飲んだ。
隼にぃのお店に由紀を何度か連れて行ったことがある。私が隼にぃと呼ぶから由紀も隼にぃと呼ぶようになった。
2人は意気投合していて、私は密かにお似合いなんじゃないかと思っている。隼にぃも独身で、由紀も今は彼氏がいない。
ちなみに由紀はまだ大石さんと鉢合わせたことはない。