愛しても、いいですか

ロビーに行くと、新さんが私を見つけて沙耶香、と私の名を呼ぶ。

「美咲、何だったの?」

「ウェディングブーケ、頂いちゃいました」

持ち上げて見せると、ふ、と微笑み、なるほどな、そう言うことか、と呟く。

「ブリザーブドフラワーになってるらしいので、帰ったらお部屋に飾っておきましょうね」

大事にそれを持って、新さんと手を繋ぐ。

「…沙耶香、さっき式を挙げてた教会に、ちょっと寄ってかない?」

新さんからそんな提案をされて、

「教会、入ってもいいんですか?」

と尋ねると、この時間なら自由に見学してもらって構わないって、と新さん。

そうして手を繋いだままロビーを出て桜並木を進み、先程フラワーシャワーをした大階段を上って教会の重厚な扉を開けた。

神聖な雰囲気に包まれて、ステンドグラスから差し込む七色の光がバージンロードを照らしている。
つい数時間前、ここを海さんと美咲さんが歩いていた。
そこを今、私は新さんと手を繋いで歩いている。