ーそうして次の週末には東京から2時間ほどで行けるうちの実家まで新さんが車を出してくれて、挨拶に向かった。

事前に婚約者を紹介したい、と電話した時、母はとても驚いて、でも電話越しでも分かる満面の笑みで良かったね、そう言ってくれた。

懐かしい実家に新さんと足を踏み入れると母が、

「まあまあ、遠くからよくいらっしゃいました!」

と目尻を下げ屈託のない顔で笑い、その笑顔のまま沙耶香ちゃんお帰り、と迎え入れてくれる。

高校3年生の妹、麻衣も、

「お姉ちゃん、久しぶり!」

と私を見るなり抱きついてくる。
最初に会ったのが麻衣が5歳の時で、それまで一人っ子だった私はそれはそれはもう麻衣を溺愛していた。
それ故麻衣も私のことを慕ってくれていて、私たちは本当の姉妹のように育った。

「お姉ちゃん、すごいイケメン捕まえたね!」

新さんには聞こえないようにこそっと囁く妹に、こら、と苦笑いで返す。