「で、慎太郎くんが沙耶香に振られた時、沙耶香と大石さんのこと聞いて焦ったくなっちゃったみたいで。それで今回の作戦を思いついて志保に彼女役をお願いしたらしい」

志保、ノリノリだったみたいだよ、そう言って由紀が笑う。

「でも上手いこと鉢合わせするにはやっぱり大石さんのスケジュール確認が必要でね…私が秘書の桶川さんに大石さんの退社後の予定聞いて、昨日決行することになった」

桶川さんも大石さんが沙耶香にベタ惚れなの知ってたから、大石さんと沙耶香をくっつけるためだって言ったら退社後の予定、あっさり教えてくれたよ、と。

「大石さんのあんな分かりやすい愛に気づかなかったのなんて、沙耶香くらいだよ」

そう言って由紀は悪戯っぽく笑った。

…私の知らない所でそんな作戦が進行していたなんて…

「…慎太郎くん、めちゃくちゃいい奴だね」

「…うん…」

全ての種明かしを聞いて、私の涙腺はまた崩壊しそうだ。

慎太郎も、由紀も、志保ちゃんも、みんな本当にありがとう…

「…もう、最近の沙耶香はほんとに泣き虫だなー」

そう優しく微笑む由紀に、私も自分がこんなに泣き虫だったなんて知らなかったよ…と泣き笑い顔で答えた。



ーそうして温かい気持ちのまま由紀とランチを済ませてオフィスに戻ったのだったー。