嬉しそうに顔を綻ばせて、でも次の瞬間にはまた瞳に真剣な、熱のこもった色を宿して、大石さんは続ける。

「…それとね、沙耶香ちゃん。俺、もう沙耶香ちゃんじゃないとダメみたいだから…だから、俺と結婚を前提に付き合って下さい」

っていうか、本当はもう今すぐ結婚したいくらいなんだけどね、そう言って茶目っ気たっぷりに微笑む。

私の方は、もういよいよ涙腺がおかしくなって、身体中の水分が全部涙になって出て行ってしまうんじゃないか、ってくらい。

私だってもう、大石さんじゃないとダメだ。

大石さんは私の頬を包んでいた手をそっと離して、今度は自分の服の袖で私の涙をゴシゴシ拭う。

「…もう、そんなに泣いてー。止め方分かんないよ…」

そう困ったように笑って言う大石さんに、

「…嬉し涙だから、良いんです…」

上目遣いに微笑めば、

「…沙耶香ちゃん、返事は?」